自分を超えること

「シナリオを書いている私」が恥ずかしい - 村上さんのところ/村上春樹 期間限定公式サイト

村上さんは小説を書いている時に、恥ずかしくて書けなくなったようなことはありましたでしょうか。
このような私が最後まで物語を書くにはこの先どうしたらよいかなど、ご助言ございましたらご教授いただけませんでしょうか。
よろしくお願いいたします。
(物語好き、男性、26歳、会社員)

もし「シナリオを書いている私」というものに恥ずかしさのようなものを感じられるのであれば、はっきり申し上げまして、それはあなたが自分自身を超えていないからです。ものを書いているあるポイントで自分自身を超えることができたら、恥ずかしさみたいなものを感じているような余裕はないはずです。もっともっと自然に書きたくなるはずです。頭で筋を考えていると、どうしても自分を超えることはできません。身体全体でしっかり考えないとだめです。

ペラ五枚の断片でもいいから、自分で気に入ったものがあれば、それを徹底的に書き直すと良いと思います。初心者のうちは書き直しがすべてです。漫然とあちこち書き散らすのではなく、局地に集中すること。我慢強くトンカチ仕事に励むこと。そこからきっと自然な何かが出てきます。