小説にはうなぎが必要

小説にはうなぎが必要なんですね - 村上さんのところ/村上春樹 期間限定公式サイト

村上さんにおりいって質問・相談したいこと 読者↔村上春樹

こんにちは。以前村上さんが柴田元幸さんとの対談で仰っていた「うなぎ説」というのにハッとさせられました。そして何かストンと胸に落ちるものがありました。だから村上さんの描く人物は生きているんだな、とか、物語が開かれているんだな、とかです。「書き手」と「うなぎ」と「読者」による「三者協議」という姿勢で書いていらっしゃると、自分で書きながらも書かされている、というか大きなうねりの中に身を委ねるような感じになりませんか? それともひたすら地下に潜るという感じですか? よろしかったらお答えお願いします。
(もげらっぱ、女性、49歳、公務員)

うまく説明はできないんですが、うなぎの存在が大事なんです。世の中に出回っている小説の中には、うなぎがあまりうまく描かれていないものがけっこう数多くあります。作者と読者だけでは、小説はそれほど遠くまでいけません。うなぎが出てきて、初めてその小説は遠くまでいけるんです。うなぎが出てきたら、もうしめたものです。あとはそれをすらすらと書いていくだけです。わかりますか? 

村上春樹

 

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場合によってはナマコでも良いのではないか。